70歳以上になると、高額療養費制度の自己負担限度額の仕組みが変わります。
最大の違いは、
外来は個人単位、入院は世帯単位で上限が設定される点です。
この記事では、70歳以上の自己負担限度額を、所得区分ごとに整理します。
※制度は改定される可能性があります。最新情報は必ず公式資料をご確認ください。
制度の概要
高額療養費制度は、1か月に支払った医療費が一定額を超えた場合、その超過分が払い戻される制度です。
70歳以上では、
- 外来(通院)
- 入院(世帯合算)
で上限の考え方が異なります。
69歳以下の上限額については、
「高額療養費の自己負担限度額はいくら?所得区分ごとの計算例を解説【69歳以下】」
で整理しています。
対象条件・判定基準
70歳以上は、年収ではなく課税所得などを基準に区分が判定されます。
年収はあくまで目安です。
主な区分は以下のとおりです。
- 現役並み所得者(Ⅲ・Ⅱ・Ⅰ)
- 一般
- 住民税非課税Ⅱ
- 住民税非課税Ⅰ
実際の区分は、市区町村または加入保険者で確認してください。
所得区分ごとの自己負担限度額(70歳以上)
※2026年3月時点
※加入保険により細部が異なる場合があります
■ 外来(個人単位)
| 所得区分 | 外来上限(月額) |
|---|---|
| 現役並みⅢ | 252,600円+(総医療費−842,000円)×1% |
| 現役並みⅡ | 167,400円+(総医療費−558,000円)×1% |
| 現役並みⅠ | 80,100円+(総医療費−267,000円)×1% |
| 一般 | 18,000円(※年間上限144,000円) |
| 住民税非課税Ⅱ | 8,000円 |
| 住民税非課税Ⅰ | 8,000円 |
■ 入院・世帯単位
| 所得区分 | 世帯上限(月額) |
|---|---|
| 現役並みⅢ | 252,600円+(総医療費−842,000円)×1% |
| 現役並みⅡ | 167,400円+(総医療費−558,000円)×1% |
| 現役並みⅠ | 80,100円+(総医療費−267,000円)×1% |
| 一般 | 57,600円 |
| 住民税非課税Ⅱ | 24,600円 |
| 住民税非課税Ⅰ | 15,000円 |
現役並み所得者の場合、外来・入院ともに同じ計算式が適用されます。ただし、外来は個人単位、入院は世帯単位で集計される点が異なります。
計算例
例① 一般区分・外来のみ
外来の自己負担が25,000円だった場合
外来上限は18,000円のため、
7,000円が払い戻し対象になります。
※年間では144,000円が上限です。
例② 一般区分・入院あり
世帯の自己負担が80,000円だった場合
世帯上限57,600円を超えているため、
22,400円が払い戻し対象になります。
③ 現役並み所得Ⅰの場合
前提:
・70歳
・現役並み所得Ⅰ
・総医療費 500,000円
・自己負担3割 → 150,000円支払い
計算式:
80,100円+(500,000円−267,000円)×1%
途中計算:
500,000−267,000=233,000
233,000×0.01=2,330
80,100+2,330=82,430円
払い戻し額:
150,000円−82,430円=67,570円
※基準額(267,000円)を超えた部分に対して1%が加算されます。
よくある誤解
・外来と入院は同じ上限ではない
・外来は個人単位
・入院は世帯単位
・非課税ⅠとⅡで入院上限が異なる
区分を誤解すると、戻る金額の見込みを誤ることがあります。
次に確認すること
・自分の課税所得区分
・保険証の種類
・市区町村または保険者への確認
区分が不明な場合は、保険者に問い合わせるのが確実です。
医療費に関する制度は、仕組みが少し複雑です。
制度の全体像は
「医療費の負担を軽くする制度まとめ|高額療養費・医療費控除をわかりやすく解説」
で整理しています。
参考・出典
・厚生労働省
高額療養費制度を利用される皆さまへ
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryouhoken/juuyou/kougakuiryou/index.html
(最終確認日:2026年3月4日)


コメント